行ってみたいな「うどん県」
しかし、こう暑いと食が細るのは人間の常だね。わしのような大食いだって、真夏に三食ともご飯と味噌汁はさすがにキツイ。一食ぐらいは、せめてさらりとお腹に流し込める軽食が、つい恋しくなるってもんじゃよ。
で、そんなとき日本人なら必ず食べたくなるのが麺類ってわけ。うどんにそうめん、蕎麦など、出汁の利いたつゆでツルツルッと啜れるわが国伝統の麺は、今の季節にはほんとうに重宝する食べ物じゃ。え、ネギも忘れるな? 分かっておる。
そんなわけで今日は『麺の博物館』なるサイトに、ちょいとお邪魔することにした。ではツルッじゃなかった、クリック!
http://www.pref.kagawa.jp/menpaku/
おおこのサイト、なんだか小麦粉とイリコ出汁のいい香りがすると思ったら、「うどん県」を宣言した香川県が運営する仮想ミュージアムなんだね。うどんと言えば香川、香川と言えばうどん。そしてマンUに加入したサッカーの香川選手も、うどんが大好きだと言っておった。なるほど、ここにはどうやらわしの知りたい情報が、釜いっぱい茹でてあるらしいな。
まず「うどん&そうめん探訪」というボタンをクリックし、これらの歴史でも探ってみるか。どれどれ、ふんふん、なるほどね。麺はどうやら奈良時代に中国大陸から渡来したもので、そこには遣隋使・遣唐使が大きな役割を果たしたとあるな。やっぱりルーツはあちらさんだったのかい。
そういえば今から数十年前、わしが中央アジアのウズベクを旅したとき、ラグマンという彼の地のうどんを食べたことを思い出すよ。羊肉の入ったトマト味のスープだったが、麺はまるっきり日本の手打ちうどんだったもんな。わが国で独自の進化を遂げたうどんやそうめんは、彼らの遠い親戚というわけじゃな。
このページからはまた、讃岐うどんの作り方を紹介したページにも行けるから、挑戦したい人は必見だよ。まず小麦粉に塩水を加え練り続ける。すると、ガムのように伸びるグルテンに変わるんじゃが、これがあの独特のモチモチ感につながるらしい。
で、大事なのはその後の「足踏み」なんだとさ。ビニールなどを被せ、両足でしばらく踏み続けることにより、グルテンはさらに網目状に広がり、生地はよりきめ細かく弾力性を帯びたものになる。これが讃岐うどんのコシにつながるという寸法じゃ。
後はこれを麺棒で伸ばして庖丁で切り、熱湯で茹でれば出来上がりなんじゃろうが、どうもわしなんか完成の前に疲労と筋肉痛で倒れてしまいそうだよ。やっぱりこれって、誰かが作ったものを食べるのがいちばん美味いのかな。
他に伝統的なそうめんの作り方も紹介してあるから、このページも見逃せないね。しかしこれを見ると、うどんとそうめんは材料は同じ小麦粉と塩水でも、その製法がまったく違うところが面白い。いわば、血を分けたサンダとガイラの兄弟みたいなもんかな。
いちばんの違いは、うどんがグルテンを麺棒で平たく伸ばして庖丁で切るのに対し、そうめんは細く棒状に伸ばした奴を少しずつ引っ張り、しまいに糸のように細くして乾燥させること。庖丁を使うのは、最後に長さを切りそろえるときだけなんじゃね。生地の状態でごま油を塗るのも、麺を極限まで細く伸ばすための裏技というわけさ。
そのほかにもこのサイトには、世界の麺についてそのルーツや系列を探ったり、伝播の道筋をたどったりと、興味深いコンテンツが多い。こうしてみると、麺は東アジアが生んだ食文化の大傑作だということがよく分かるね。しかもアジアだけではなく、イタリアのパスタについても解説がある。このネタ、食事の席なんかでもけっこう使えそうだよ!
また、何かおみやげが欲しそうなキミには、うどんのアイコンやうどんのイラストの壁紙も用意してある。おお、うどん占いなんてものもあるぞ。なんじゃと、占いの結果わしは「ぶっかけうどん型」かい? いやはや、どうもなあ。
とにかくサービス精神大盛りのこのサイトには、「うどん県」香川の意気込みが満ち満ちておる。熱くていいねえ。じゃあ腹が減って来たのでわし、これからツルッとうどんとそうめんを啜るから。またな!